携帯型打音計および近赤外分光法によるメロンの熟度・糖度の非破壊測定
三重県科学技術振興センター農業技術センター
生産環境部品質評価担当 藤原孝之
目的
メロンの熟度を外観から判定することは困難であるので、的確に非破壊評価する技術が求められている。また、一般にメロンの味に関しては甘みが重視され、糖度(Brix値)で品質を評価する場合が多いが、糖度でどの程度甘みを表現できるかは明確になっていない。そこで、官能検査により、非破壊評価に要求される糖度の測定精度を明らかにするとともに、糖度以外の要因の甘みへの影響を検討する。次に、非破壊でメロンの熟度および成分を評価する手法として期待されている打音解析法および近赤外分光法の実用性を検討する。
実験1果肉硬度が甘みに及ぼす影響
【サンプル】果肉の硬さが異なり糖度が同じメロンを用いた(1セット3個)
【官能検査】果汁および果肉(果実の切片使用)について、パネルに甘みの強さの順位をつけさせた。
【実験結果】パネルは果汁の甘みに差はないと判断したが、果肉については軟らかいものほど甘いと判断した。つまり、メロンの硬さが甘みに影響するため、メロンの味を非破壊評価する場合は、糖度・果肉硬度の両方を測定することが必要である。
実験2メロンの甘さを明確に識別できる糖度の差
【サンプル】実験1の結果より、硬さの影響をなくすために、硬さが同じで糖度が異なるメロンを用いた(1セット3個)。
【官能検査】果肉の甘みの強さを実験1と同様に検査した。
【実験結果】パネルが甘さを明らかに識別できたサンプル間には、約1.5度以上の糖度差が認められた。そのため、糖度の非破壊測定においては、1.5度の差を確実に判別できる測定精度が望まれる。
実験3携帯型打音計によるメロンの熟度判定
【打音測定】携帯型打音計(携帯型メロン熟度計、S社)を手で持ってメロンの赤道部にあて、果実の反対側を叩いて音(固有振動値)を測定した。
【実験結果】打音出力値と果肉硬度(果実硬度計による突き刺し抵抗値)の間に高い相関が認められたので、携帯型打音計はメロンの熟度判定に有効と考えられた。
実験4近赤外分光法によるメロンの糖度・熟度判定
【近赤外分光測定】近赤外分光計(N社)に接続した同軸光ファイバーをメロン下部に当て、400〜1100nmのスペクトル(反射光、光が果実内に多少侵入する)を測定した。
【実験結果】近赤外分光法により、糖度(デジタル屈折糖度計で測定)を標準誤差0.5度の精度で測定できた。実験2で示した糖度差を確実に判別するためには、さらに測定精度の向上が望まれる。また、果肉硬度も同時に測定できる可能性を明らかにした。
実用性
【携帯型打音計】収穫適期の判定、集荷場での熟度チェック、小売店での食べ頃予測などを簡便に行うことが期待される。
【近赤外分光法】集荷場での糖度による選果、小売店での糖度測定が期待される。また、熟度も同時に評価できる可能性がある。
